ピアノを習い始めの頃は、お下がりのオルガンを使ってました。
出張レッスンで先生に来ていただいていたので
本物のピアノに触る機会は、なかなか無く憧れていました。
両親との約束はバイエル上下終えたら、ピアノを買ってあげる
というものでした。
約束どおり1年でバイエルを終わらせました。
さぁ、ピアノ!!となった時に、ピアノの先生からアドバイスを頂きました。
「まなみさんは、手が小さいからピアノは大変だから、エレクトーンに
されたらいかがですか?」
わたしもですが、両親もちょっとショックを受けました。
家では親もショパンのピアノ曲などが好きで
よくレコードをかけていました。
キラキラした音を聴きながら、ピアノに憧れていたのです。
エレクトーンも当時とても流行っていて
様々な音色やリズムが華やかで
習っている方も多かったと思います。
先生の言うとおりかも知れない。
エレクトーンもかっこいいしなぁ~
どうしよう???
小学3年生の頭で考えました。
でも、頑固というか、好き嫌いがはっきりしているところがあって
モヤモヤしている自分の気持ちがわかってました。
両親は「でも、ピアノの音が好きだから・・・」と
先生に伝えていました。
先生の言ったとおり
小さな手はやはり苦労をしましたが
音楽教室の講師になった時に驚いたのですが
意外や意外、手の小さな先生が多かったのです。
そして、ビックリすることがおきました。
両手とも1オクターブしか届かなかったのですが
おととし、右手にオクターブが沢山出てくる曲を弾いていて
練習しながらも
「これは弾けるのかいな?」と半ば諦めていました。
腕を伸ばし指をびよ~んとガムみたいに伸ばし緩めて弾く
という練習をゆっくりゆっくりしていたら
9度、ドからレまでとどくようになっていました。
まさか、この年齢で指が伸びたわけではないので
緩めることで、とどくようになったんですね。
現在、あの分岐点を振り返ると
やはり、「好き」の方に行ってよかったな、と思います。
そして、肩を押してくれ、わたしを信じてくれた両親に感謝してます。
練習が嫌だったり、他人と比較して落ち込んだり・・・
ということはありましたが、
一度もピアノのことは嫌いになりませんでした。
ピアノはいつも大好きでしたし
ピアノが見せてくれる世界があったからこそ
いままで、生きてこれたように思えます。
「好き」という一見単純に思える感情・動機は
自分の深いところと繋がっていて
人生の道標になっているんだなぁと思います。