生徒さんが、レッスンの見学をしたいというお友達を
連れて来てくださいました。
レッスンの前に、お二人のピアノとの出会いのお話を
聴かせて頂きました。
とても興味深かったです。
お二人共、まだ、ピアノが珍しかった頃
学生時代を過ごしています。
学校の体育館にしか、ピアノが無くって
お昼休みはピアノを弾きたい女の子達が
順番待ちの列を作っていたそうです。
でも、ピアノを習っている人が先に弾いていいという
決まりになっていて、
その人たちが弾き終わった後、順番が回ってくるのだそうです。
「でもね、いざ、自分の番になっても
何を弾いていいのか、わからないのよ。
だって、習ってないんだもの。」
そーっと、鍵盤におそるおそる触る少女の姿が思い浮かびます。
でも、色んな音がして、その時間はきっと特別な時間だったんでしょうね。
「バイエルが欲しくて、欲しくて、たまらなかったの。」
バイエルといえば、ピアノを習った人も、習ってない人も知っている
ピアノ教則本の代名詞のような教本ですね。
わたしも入門時にやりましたが、白黒のそっけない感じの楽譜に
ただ、淡々とやってたかな?
進んでいくのは嬉しかったんですけど
きっと、少女だった生徒さんは、バイエルを手に入れれば
憧れのピアノが上手に弾けるようになるに違いないと
思ったんでしょうね。
その、真摯な思いに胸がキュンとなります。
それから、大分、時が過ぎて70代の時に
念願のピアノを習い始められ、
それを機にピアノも買ったんだそうです。
願いって叶うんですね~
憧れのピアノを手に入れられたんですもの^^
残りの人生は、自分の好きなことをやると決められて
今まで、沢山大変だった時間を過ごされてきたからこその
その決心とピアノに対する深い思いを感じました。
わたしが弾いたブルクミュラーの可愛らしいエチュードを
キラキラした瞳で聴いてくださったことが嬉しかったです。
自分が、とても恵まれてること、これが普通ではないこと
いつも忘れないでいたいと思いました。