2013年4月25日木曜日

曲のイメージ

ドビュッシーの「ノクターン」を練習していた時に
最後まで通すことはできていても
演奏していても違和感があって、しっくりきていませんでした。
楽譜通りに弾いているのに、音楽表現もつけているのに・・
曲が姿を見せてくれないのです。
遠くに居る感じです。。。

そんな様子をわかられたのか
レッスンでわたしが前奏部分を弾いたあと

「どんな雰囲気がしますか?情景はどんな感じでしょう?」
と先生が聞いてくださいました。

先生に助けられながら、前奏部分は
朽ちた建物、ところどころ蜘蛛の巣が張っているような
以前、何かあったけど今は何もない、夢の跡
そこにわずかだけど美しい一筋の光が差し込んでくる様子が
イメージできました。

一度イメージができると今までバラバラのピースのように
思えていた部分にそれぞれの物語があり
強固な橋ではなく、ドビュッシー特有の危うい柔らかな橋でつながれたり
または、瞬間的にスーッと場面が夢のように消えていきました。

わたし自身がこの幻想の世界に入っていくと
それはそれは楽しくて
この世界を味わいたいがために、繰り返し弾きたくなりました。

こんな経験は初めてでした。

「あ~小さな頃から、こんな楽しい経験ができれば、
もう少しピアノも練習したかもしれない。」と思いました。

ファンタジーが大好きで読みあさっていたので
自分でお話を考えたり自分の作った世界で遊ぶのが好きでした。

ピアノの曲は題が付いている曲を弾けるのを楽しみにしていました。
ささやかな挿絵と題名で、曲のイメージが弾く前から大きく膨らんでいました。
通常は番号のついた曲ばかりで、つまらなかったです。

でも、ピアノレッスンでそんなことを聞いてくれた先生はいませんでした。
指使いや音の間違え、フォルテとピアノ
フォルテとピアノはボリューム調整のように思え

音楽を聴いたときに感じる高揚感とは程遠いものに思えました。
ただ、とにかく楽譜通りに弾かないといけないんだ。と胸に刻まれました。

自分がピアノを教えてみると
小さな子供のレッスンはとにかくやることが多くて
生徒さんも大変だし、先生も大変です。
どうしても余裕がなくなってしまうけれど

生徒さんと一緒に曲を楽しむこと、
どんなイメージが浮かぶか?どんな気分になるか?
そんな時間を大切にしたいと強く思いました。
それが音楽が生まれた理由ですものね。

楽譜に書かれた音をそのまま鍵盤に移すだけでなく
その音、響きが何を物語っているのか?
一緒に探していきたいと思っています。